02/28/2026 / プレイスメイキング サスティナビリティマネジメント
TENNOZ 未来ビジョンワークショップ 開催レポート|天王洲エリアのこれからのまちづくりに向けて
02/28/2026
プレイスメイキング サスティナビリティマネジメント

レポート概要

事業名 国土交通省「官民連携まちなか再生推進事業」(2025年度)

主催 水とみどりの天王洲エリアプラットフォーム(品川区・エリアマネジメントTENNOZ)

参加者 地権者・就業者・住民など天王洲アイルの多様なステークホルダー

位置づけ 2025年度 社会実験・データ活用事業の集大成。地権者ヒアリング・品川区意見交換を経て開催


01 背景 天王洲アイルの公共空間が直面する構造的課題

天王洲アイルのまちづくりは、約40年前の開発当初から民間主体が公共空間の維持管理も担う先進的な取り組みとして続けられてきました。1985年に地権者22社による協議会が発足し、「アートになる島、ハートのあるまち」という開発理念のもと、民間主導でマスタープランや地区計画・自主ルールが形成されてきた歴史があります。

しかし現在、以下のような構造的課題が顕在化しています。


  • 不動産証券化による所有者の移転・細分化 意思決定が複雑化し、エリア全体での合意形成が困難に
  • 施設の老朽化 開発から40年が経過し、橋梁・ボードウォーク・エスカレーター等の更新が急務
  • 維持管理費の増大 物価高騰により費用負担の枠組みの見直しが不可欠
管理理念の継承不足 所有者変更に伴い、開発当初の理念・ルールが引き継がれないケースが増加

02 目的 持続可能な維持管理体制と官民連携の枠組み構築に向けて

本ワークショップは、未来ビジョン「水とみどりとヒカリの楽島(ecoisle)」の実現に向け、以下を目的として開催されました。

  • 公共空間の維持管理体制の現状と課題を多様なステークホルダー間で共有する
  • 官民・民民による新たな連携の枠組みづくりに向けた議論の場を設ける
  • 2025年10〜11月実施のヒアリング調査結果および2026年1月の品川区意見交換を踏まえた合意形成を図る
次年度以降のアクションプランに向けた参加者間の意識統一を行う

03 当日の内容 4時限にわたる議論の記録

ワークショップは以下の4時限構成で実施されました。


時限

時間

テーマ

内容要旨

1時限目

13:30〜14:30

天王洲の成り立ちと今を知る

1985年発足からの歴史・開発理念・ソフト面の成功事例を共有

2時限目

15:00〜16:00

維持管理・まちづくりの現状と課題

老朽化・意思決定の複雑化・物価高騰・管理理念の継承不足を共有

3時限目

16:30〜17:30

課題解決とバリューアップのための方策

班別議論:公的関与の強化・リノベーション・窓口の一元化を提案

4時限目

18:00〜19:00

まとめと交流会

「不易流行」の視点で議論・次年度アクションプランに向けた意識統一


1時限目(13:30〜14:30) 天王洲の成り立ちと今を知る

1985年の地権者22社による協議会発足からの歩みや、「アートになる島、ハートのあるまち」という開発理念を振り返りました。民間主導で形成されたマスタープランや地区計画・自主ルールの歴史を共有するとともに、近年の水辺再開発や壁画アートプロジェクトなどソフト面での成功事例についても紹介。まず「天王洲が歩んできた道」を参加者全員で確認することから議論をスタートしました。

2時限目(15:00〜16:00) 維持管理・まちづくりの現状と課題

公共空間の維持管理に関する現行ルールの説明と、現場で起きている課題についての意見交換が行われました。施設の老朽化に加え、不動産証券化による意思決定の複雑化、物価高騰による維持管理費の増大、所有者変更に伴う管理理念の継承不足などが深刻な課題として共有されました。

2時限目で共有された主な課題

  • 橋梁・ボードウォーク・エスカレーター等の老朽化が急速に進行しており、早急な対応が必要
  • 不動産証券化により実質的な意思決定権者が不明確になっているケースが存在
  • 維持管理費の物価高騰が続く中、費用負担の枠組みが未整理のまま
  • 担当者交代・オーナー変更時の情報継承の仕組みが不十分

3時限目(16:30〜17:30) 課題解決とバリューアップのための方策

開発から40年が経過した天王洲をそれぞれの立場でどのようにバリューアップできるかを班別に議論しました。

3時限目で提案された主な方策

  • 公共性の高い場所(ふれあい橋等)への公的関与の強化 → 行政(品川区)との役割分担の再設計
  • 既存環境のリノベーション → 老朽化施設を「更新」ではなく「価値向上」の機会と捉え直す
  • 公共空間活用の窓口の一元化・見える化 → エリマネが一括窓口として機能する体制の整備

4時限目(18:00〜19:00) まとめとこれからに向けて(交流会)

全体の振り返りとして、「不易流行(守るべき基準と変えるべき運用)」の視点に基づく考え方の刷新について議論されました。参加者同士のネットワーキングを図りながら、次年度以降のアクションプランに向けた意識の統一が行われました。


04 考察 ワークショップが示したもの

今回のワークショップを通じて明らかになったのは、天王洲アイルの課題が単なる「施設の老朽化問題」ではなく、40年間の成功体験の上に積み上がった「構造的な転換期」にあるということです。

「誰が・どのような枠組みで・継続的に責任を持って管理するか」という問いに対し、民間だけでは解決できない部分があることが参加者間で共有された点は大きな前進です。行政(品川区)が「地域と一緒に検討していく」という姿勢を示していることと合わせ、官民が同じテーブルで「天王洲モデル」を再設計できる条件が整いつつあります。


 ワークショップで示された今後の方向性

  • 「守るべき基準(不易)」と「変えるべき運用(流行)」を整理し、維持管理ルールを再構築
  • 公共性の高いインフラへの行政関与を強化し、民間負担を適切な水準に再分担
  • エリマネが一括窓口・調整機能を担う体制を制度的・財政的に持続可能な形に整備
  • 次年度以降、ワークショップの成果をもとに具体的なスキーム策定へ移行

05 まとめ 「賑わい創出」から「持続可能なエリア経営モデルの検討」へ

今回のワークショップは、天王洲アイルが「イベントによる賑わい創出」の段階から、「持続可能なエリア経営モデルの検討・維持管理体制の確立」という一段上のステージへ移行するための重要な契機となりました。

開発当時の想いを再確認しつつ、老朽化や所有構造の変化といった現代のリアルな課題に向き合い、官民が連携して「天王洲モデル」の維持管理ルールを再構築していく方向性が示されました。エリアマネジメントTENNOZは今後、本ワークショップで得られた知見を活かし、持続可能なエリア運営体制の構築に向けた取り組みを続けてまいります。

■ 一般社団法人エリアマネジメントTENNOZ
天王洲地区内の主要なまちづくり団体の企業を包括する組織であり、
天王洲アイルのまちづくり全般を担うエリアマネジメント組織である。
https://tennoz-am.com/
https://www.e-tennoz.com/whatstennoz/kyougikai.html

■ 水とみどりの天王洲エリアプラットフォーム
品川区と共同で国土交通省補助金事業「官民連携まちなか再生推進事業」に応募し、令和4年度事業として採択され、地域団体であるエリアマネジメントTENNOZと品川区が一体となって「エリアプラットフォーム」を設立

https://tennoz-apf.com/

■ 取材申し込み・お問い合わせ
一般社団法人 エリアマネジメントTENNOZ 事務局(担当:宇野、松岡)
E-Mail:info@tennoz-am.com