12/31/2025 / サスティナビリティマネジメント 地域連携
地権者・事業者ヒアリング調査 結果レポート|2025年度 官民連携まちなか再生推進事業(社会実験・データ活用型)
12/31/2025
サスティナビリティマネジメント 地域連携

レポート概要

事業名 2025年度 国土交通省「官民連携まちなか再生推進事業(社会実験・データ活用型)」

調査対象 エリア内の地権者・事業者 22社

実施期間 2025年10月〜11月

協力 株式会社アール・アイ・エー(RIA)

活用予定 品川区との意見交換、2026年2月開催予定のワークショップにおける基礎資料


01 背景 天王洲アイルの公共空間が抱える維持管理の課題

天王洲アイルでは、開発当初から民間主導により公共空間(橋梁・ボードウォーク・スカイウォーク・エスカレーター・公園など)が整備・運営され、地権者・事業者それぞれが維持管理協定を締結してきました。

しかし近年、以下のような構造的な変化により、協定の実効性や費用負担のあり方が課題となっています。


  • 地権者の交代 不動産証券化の進展により、開発当初の地権者から所有者が入れ替わるケースが増加
  • 施設の経年劣化 開発から30年以上が経過し、橋梁・ボードウォーク・エスカレーター等の老朽化が顕在化
  • 協定の形骸化 当初の協定・ルールが現状に即していないものがあり、実効性の低下が進行
  • 管理主体の分散 施設ごとに管理主体・費用負担者が分散しており、担当者交代時の情報継承が困難

02 目的 実態把握と持続可能なエリア運営体制の構築に向けて

エリマネは、こうした課題の実態を現場の声として正確に把握し、持続可能なエリア運営体制の構築に向けた検討の基礎資料とすることを目的に、エリア内22社を対象としたヒアリング調査を実施しました。


  • 維持管理協定の実態と課題を当事者の声として把握する
  • 費用負担のあり方についての意向・課題意識を整理する
  • エリア全体のまちづくりに関する意見・期待を収集する
  • 品川区との意見交換およびワークショップにおける議論の基礎資料を整備する

03 実施概要 ヒアリング調査の内容


項目

内容

実施期間

2025年10月〜11月

対象

エリア内の地権者・事業者 22社

調査内容

公共空間の維持管理協定の実態、費用負担のあり方、エリア全体のまちづくりに関する意見・課題

協力

株式会社アール・アイ・エー(RIA) ※建築・まちづくりの設計・コンサルタント会社


04 調査結果 22社から寄せられた主な意見と課題

ヒアリングで得られた各社の意見・課題は、株式会社アール・アイ・エー(RIA)の協力のもと、エリア全体の課題として体系的に整理・分析しました。意見は多岐にわたりましたが、大きく以下の3つのテーマに集約されます。


① 公共空間の老朽化への対応

 主な意見・課題

  • 橋梁・ボードウォーク・エスカレーターなど主要インフラの老朽化が深刻で、早急な対応が必要
  • 修繕・更新に要する費用の負担者・負担割合が不明確なまま放置されているケースがある
  • 民間だけでの維持管理には限界があり、行政(品川区)との役割分担の再設計が求められる

② 意思決定構造の複雑化と合意形成の難しさ

 主な意見・課題

  • 地権者・管理会社・テナントなど関係者が多層化しており、維持管理に関する意思決定に時間がかかる
  • 不動産証券化により、意思決定権を持つ実質的なオーナーが見えづらくなっているケースがある
  • エリア全体の課題について、情報を一元的に把握・共有できる仕組みが必要

③ エリア全体の魅力向上への期待と賛同

 主な意見・課題

  • 時代に合ったかたちで維持管理の仕組みを見直すことへの賛同の声が多く聞かれた
  • 水辺の景観・文化・アートを活かした天王洲アイルの魅力をさらに高めていきたいという期待が多い
  • エリマネが中心となって関係者間の対話を進めることへの支持・協力意向が確認された

05 考察 課題の構造と今後の論点

今回のヒアリング結果から、天王洲アイルの公共空間維持管理における課題は「施設の老朽化」という表面的な問題にとどまらず、開発から30年以上が経過する中で生じた構造的な変化(地権者の交代・不動産証券化・協定の形骸化)が根本にあることが明確になりました。

一方で、22社の大多数が「エリアをよくしたい」「仕組みを見直すことに賛成」という前向きな姿勢を示していたことは、今後の合意形成プロセスにとって大きな追い風となります。エリマネが関係者の対話を促進する「場」を設計し、行政(品川区)との連携のもとで具体的な解決策を検討することが求められます。


 今後の議論における主要論点

  • 老朽化した公共インフラの維持管理責任を、民間・行政間でどのように再分担するか
  • 不動産証券化が進む中で、意思決定権者を特定し合意形成を図る仕組みをどう構築するか
  • エリマネが担う「一括管理・調整機能」を制度的・財政的に持続可能にするための枠組みとは

06 まとめ 次のステップへ

今回のヒアリング調査結果は、天王洲アイルの持続可能なエリア運営体制構築に向けた議論の出発点となります。エリマネは本結果を基礎資料として、品川区との意見交換およびワークショップにおける多様な関係者との対話を進めてまいります。


 今後のスケジュール

  • 品川区との意見交換 ヒアリング結果を共有し、行政との役割分担について協議
  • 2026年2月 ワークショップ開催 地権者・事業者・行政が一堂に会し、課題解決の方向性を議論
  • ワークショップの成果をもとに、持続可能なエリア運営体制の具体的スキームを検討・策定


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■ 一般社団法人エリアマネジメントTENNOZ
地区内の主要なまちづくり団体の企業を包括する組織であり、
天王洲地区のまちづくり全般を担うエリアマネジメント組織である。
https://tennoz-am.com/
https://www.e-tennoz.com/whatstennoz/kyougikai.html

■ 水とみどりの天王洲エリアプラットフォーム
品川区と共同で国土交通省補助金事業「官民連携まちなか再生推進事業」に応募し、令和4年度事業として採択され、地域団体であるエリアマネジメントTENNOZと品川区が一体となって「エリアプラットフォーム」を設立

https://tennoz-apf.com/

<取材申し込み・問い合わせ先>
一般社団法人 エリアマネジメントTENNOZ事務局 (担当:佐藤、松岡)
E-Mail:info@tennoz-am.com